FXで利益を出すためにはスリッページについて理解し、対策しておく必要があります。
スリッページを理解しないまま取引すると、損失を招いてしまう可能性もあるのです。
とはいえ、スリッページが何なのか?なぜ発生するのかよく分からないという方も多いでしょう。
この記事では、スリッページの基本や対策を分かりやすく解説します。
スリッページとは?
スリッページとは、注文から実際の約定までの価格の差のことを言います。
例えば、米ドル/円が110.00円の時に発注をクリックしたのに、実際の約定価格が110.5円だったという場合に、0.5円のスリッページが発生したというのです。
FX取引では、スリッページが有利に働く場合もありますが、不利に働き損失が出てしまったというケースも珍しくありません。
1回の額はわずかでも、取引量が多ければ多いだけ損失額も多くなります。
そのため、FX取引するうえでは、スリッページが発生する要因を理解し対策しておくことが重要なのです。
海外FXでスリッページが起きてしまう要因
スリッページが起きてしまう要因としては、次の3つが考えられます。
・タイムラグがある
・スムーズに注文処理が行われない
・意図的な操作
それぞれ詳しく見ていきましょう。
タイムラグがある
スリッページが発生する大きな要因に「注文と約定までのタイムラグ」が挙げられます。
注文から約定までの大まかな流れは以下の通りです。
・注文を出す
・取引所のサーバーに注文が到達
・取引所が注文受付
・約定
基本的には、この流れが瞬時に行われます。
しかし、為替レートは注文を出したからと言ってストップするわけではなく、常に動き続けています。
そのため、この流れよりもレートが速く動いてしまった場合に注文と約定の差が生じるのです。
通常の相場であれば大きなスリッページが発生することはあまりないでしょう。
急激な相場の変動や注文の殺到でサーバーが追い付かない場合などで、タイムラグが発生しスリッページが起きやすくなるのです。
スムーズに注文処理が行われない
インターバンク市場の「板」が薄くなることで、処理がスムーズにできずにスリッページが発生する場合があります。
FX取引では、自分の持っている交換レートと交換してくれる人がどれくらいいるかで、注文処理の時間が左右されます。
仮に、100件の買い注文に対して10件の売り注文しかなければスムーズに処理ができません。
この交換レートを交換してくれる人がどれくらいいるのかを表したものが「板」と呼ばれ、株式取引ではお馴染みのものでもあります。
FX取引の場合も、注文数が少なくインターバンク市場の板が薄い状態になると、注文処理に時間が掛かり、タイムタグが発生してしまうのです。
意図的な操作
FX業者が意図的にスリッページを発生させている場合もあります。
DD方式を導入している場合、FX取引に取引所のディーラーの意図が介在します。
また、業者の利益とトレーダーの利益が相対するため、わざとスリッページを起こしているケースもあるのです。
DD方式は、国内のFX業者の多くが採用しています。
対して、海外FX業者の多くは、ディーラーの意図が介在しないNDD方式を採用しているので、意図的にスリッページを発生させるケースはほとんどないでしょう。
海外FXでスリッページを極力減らす方法
スリッページは損失につながってしまう可能性があるため、対策しておくことが重要です。
海外FXでのスリッページ対策としては、次のような方法が挙げられます。
・約定力の高い海外FX業者を選ぶ
・MT4でスリッページの許容幅を設定しておく
・大きな注文は複数回に分ける
・指値で注文する
・NDD方式の業者を利用する
約定力の高い海外FX業者を選ぶ
約定力とは、注文をトレーダーの意図通りに処理する力であり注文から約定までのライムラグの短さとも言えます。
約定力の強い業者であれば、スリッページも発生しにくくなるのです。
約定力を見極めるポイントとして、次の3つが挙げられます。
・約定率
・約定スピード
・インフラ
約定率とは、注文が「約定拒否」や「価格再表示」されずに約定される割合です。
仮に、注文回数100回に対して約定率80%なら、20回は約定拒否や価格再表示されたとなります。
約定率は多くのFX業者で公表されている、分かりやすい指標なので確認するようにしましょう。
約定スピードが速いほど、注文から約定までのタイムラグは短くなりスリッページが発生しにくくなります。
また、約定スピードが高くてもインフラが整備されていなければ、注文の遅延やチャートが正確に表示されないなどの不都合が生じます。
カバー先の金融機関数やサーバーとの距離も遅延の要因となりえるので、チェックするようにしましょう。
MT4でスリッページの許容幅を設定しておく
スリッページは許容幅を設定することが可能です。
MT4であればメニューバーの「ツール」から「オプション」「取引」を選択することで、価格誤差を指定することができます。
例えば、価格誤差の値を20ポイントと指定すると、スリッページの許容幅を2pipsに設定でき、その幅を超えたレートでは約定できなくなるのです。
許容幅は、取引スタイルや通貨ペアによっても適した値が異なります。
スキャルピングする場合は小さなスリッページでも損失が積み重なるので狭く、約定を確実にしたい場合や値動きが大きい通貨ペアの場合は広めがおすすめです。
ただし、狭く設定しすぎると約定しにくくなるので設定値は慎重に考慮する必要があります。
許容幅の値は、自分の取引スタイルに合わせて見つけていくようにしましょう。
大きな注文は複数回に分ける
大きな注文をすれば、その分スリッページによる損失も大きくなる可能性があります。
また、注文量が多いことでタイムラグが発生しスリッページが起きる可能性も高くなるのです。
大きな注文をしたい場合は、1回ではなく2回や3回と分割して注文することで、スリッページの発生する可能性を低くできるでしょう。
指値で注文する
スリッページは基本的に成行注文で発生します。
レートを指定する指値注文であれば、スリッページが発生することはほとんどなく、仮に発生したとしても有利になるものです。
ただし、指値注文は指定した価格にならなければ、そもそも注文が約定しません。
スリッページ対策を重視して取引自体ができないという可能性もあるので、注意が必要です。
NDD方式の業者を利用する
先述したように、スリッページを意図的に発生させる業者はDD方式を採用している業者です。
DD方式とは、投資家とインターバンク市場の間に取引所のディーラーが介在する取引方式を言います。
対して、NDD方式では、投資家とインターバンク市場が直接取引する投資方法で、取引所は投資家の注文をそのままインターバンク市場に流すだけの役割です。
NDD方式の場合、取引業者はスプレッドで利益を得るため投資家の利益や損失は取引所の利益に関わりません。
むしろ、より多く取引してもらうことが取引所の利益になるため、意図的に投資家に不利になることをする必要がないのです。
そのため、NDD方式の場合は意図的にスリッページを発生させることはありません。
海外FX業者の多くはNDD方式を採用しているので、スリッページ対策としてもおすすめです。
ただし、海外FX業者の中にもDD方式を採用している業者もあるので、どの方式を採用しているかは確認するようにしましょう。
まとめ
スリッページが起こる要因や対策についてお伝えしました。
スリッページは基本的に注文と約定のタイムラグで発生し、場合によっては損失につながるため対策が重要です。
スリッページを避けるためには約定力の高く、NDD方式を採用しているFX業者を選ぶとよいでしょう。
この記事を参考に、スリッページ対策について理解したうえで海外FXにチャレンジしてみましょう。
