インジケーターの一つであるサイコロジカルラインは、RSIなどの指標と一緒に使われているものです。
このような指標は時に使い方や、存在を知らないと一生活用されないようなものでもあります。
そこで今回は、このサイコロジカルラインを初心者でも分かりやすいように使い方から計算方法まで解説します!
サイコロジカルラインとは?
サイコロジカルライン(psychological line)は、トレードにおいて、取引をする人々が感じる心理的なプレッシャーや意思決定をグラフ上に定量的に表す方法です。
これにより、取引をする人々が市場の価格に対してどのような反応を示すのかを視覚的に理解することができます。
サイコロジカルラインは、市場の価格と、取引をする人々の感情や考えを関連付けることで、市場のトレンドを予測する手段になることがあります。
例えば、市場の価格が上昇しているときに、取引をする人々が悲観的な感情を抱くことが多い場合、それは価格が下落する可能性が高いことを示している可能性があります。
RSIは買われすぎや売られすぎから値動きを予測するものでしたが、サイコロジカルラインもそれと似たような使い方をします。
サイコロジカルラインの計算式
サイコロジカルラインの計算式は、過去の株価や為替レートなどのデータをもとに、上昇トレンドラインと下降トレンドラインを計算するものです。
上昇トレンドラインの計算式は以下の通りです。
上昇トレンドライン = 最高値 + (最高値 – 最安値) * %K
下降トレンドラインの計算式は以下の通りです。
下降トレンドライン = 最安値 – (最高値 – 最安値) * %D
%Kと%Dは、それぞれ、過去の株価や為替レートのデータから算出される指標で、それぞれ9日間と3日間の指標であることが一般的です。
実際に、過去の1か月間の為替レートのデータを使ってサイコロジカルラインを計算し、トレンドの変化を予測する場合を考えます。
1か月間の為替レートの最高値が120円、最安値が110円、現在の為替レートが115円の場合、上昇トレンドラインと下降トレンドラインを計算します。
上昇トレンドライン = 120 + (120 – 110) * %K = 120 + 10 * %K
下降トレンドライン = 110 – (120 – 110) * %D = 110 – 10 * %D
ここで、%Kは9日間の指標とし、%Dは3日間の指標とします。
上昇トレンドライン:120 + 10 * %K = 120 + 10 * 90%= 120 + 9 = 129円
下降トレンドライン:110 – 10 * %D = 110 – 10 * 30% = 110 – 3 = 107円
その結果、現在の為替レートが上昇トレンドラインに近づいているため、上昇トレンドが続く可能性が高いと予測できます。
このように、サイコロジカルラインを使用することで、過去のデータからトレンドの変化を予測することができます。
サイコロジカルラインの買いと売りのサイン
サイコロジカルラインでは、先程のような計算式を使うことによって分析が可能になりましたが実際はトレードに活かさなければ意味がありません。
サイコロジカルラインを使用したとき、買いと売りはどこを見て決定すれば良いのでしょうか?
計算結果の見方を紹介します!
買いのタイミングはいつ?
サイコロジカルラインで買いのサインが出ている時は、以下のような状況です。
- 指標の%Kが%Dを上回って上昇し、かつ、現在の為替レートが上昇トレンドラインに近づいている状況。
- %Kが%Dを上回って上昇している場合。
上記の状況にある場合、現在の為替レートが上昇する可能性が高いと予測され、買いのサインが出ていると考えられます。
ただし、サイコロジカルラインはトレンドを予測するための指標であり、決して確実な情報を保証するものではないのでこれだけを信用して買うのはナンセンスということは覚えておきましょう。
売りのタイミングはいつ?
サイコロジカルラインで売りのサインが出ている時は、以下のような計算結果になります。
- 現在の為替レートが下降トレンドラインに近づいている場合、下降トレンドラインが現在の為替レートよりも低い値になっている。
- %Kが%Dを下回って下降している場合、%Kが%Dよりも低い値になっている。
ただし、サイコロジカルラインはトレンドを予測するための指標であり、決して確実な情報を保証するものではありません。そのため、取引においては、他の指標や分析手法と組み合わせて使用し、リスクマネジメントを行うことが重要です。
サイコロジカルラインの注意点
サイコロジカルラインは買いや売りの判断における、大きな指標となっていますが、万能ではありません。
サイコロジカルラインを使う際には、以下の注意点があります。
- トレンド予測に限られる:サイコロジカルラインはトレンドを予測するための指標であり、決して確実な情報を保証するものではありません。
- 他の指標と組み合わせる: 他の指標や分析手法と組み合わせることで、より正確なトレンド判断ができる。
- リスクマネジメントを行う: 取引の際には必ずリスクマネジメントを行うこと。サイコロジカルラインだけではまだ信憑性は高くありません。軍資金全てを使い切らないことが大事です。
- パラメーターの調整: 使用する時間軸やパラメーターを適切に調整することで、より正確なトレンド判断ができる。
- 情報の更新: 常に最新の情報に基づいて取引を行うこと。
これらの注意点を守ることで、サイコロジカルラインを使ってトレンドの予測をする際には、より正確な取引判断をすることができるでしょう。
サイコロジカルラインと相性の良い指標
サイコロジカルラインと相性の良い指標は以下の通りです。
- ボリンジャーバンド
- フィボナッチリトレースメント
- イチオシ・クロス
- リニア回帰
ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンド(Bollinger Bands)は、移動平均を基準にした上下のバンドを表示する指標で、トレンドの変化に応じてバンドが広がったり狭まったりするため、トレンドの判断に有用です。
ボリンジャーバンドは、移動平均線(通常は20日移動平均線)を中心線とし、その上下に移動平均からの標準偏差の2倍の幅を持つバンドを表示します。
上部バンドは「上訴線」、下部バンドは「下訴線」と呼ばれています。
トレンドが強い時は、上訴線と下訴線が広がり、取引が活発な時は上訴線と下訴線が狭まります。
上訴線よりも高い価格と下訴線よりも低い価格は、買いのサインとなり、逆に下訴線よりも高い価格と上訴線よりも低い価格は、売りのサインとなります。
また中心線を超えるときは、買いのサイン、中心線を下回るときは売りのサイン となります。
これらの買い、売りのサインを見ながらトレンドを捉えることができるので、トレンドの変化に敏感であり、サイコロジカルラインと組み合わせることで取引に有効な指標になると言えます。
フィボナッチリトレースメント
フィボナッチリトレースメント(Fibonacci Retracement)は、過去のトレンドを分析し、次のトレンドの転換点を予測する指標です。
フィボナッチリトレースメントは、過去のトレンドの上昇期か下降期から、高値と安値の位置を決定し、その間に重要なサポート・レジスタンスのレベルを設定することで、次のトレンドの転換点を予測します。
この指標は、「0」から「100」までのパーセンテージ値を持ち、それぞれが重要なサポート・レジスタンスのレベルを示します。
例えば、「23.6%」、「38.2%」、「50%」、「61.8%」、「100%」がよく使われます。
言い換えると、例えば「38.2%」のレベルで反転する可能性が高いことを示しています。
これらのパーセンテージ値は、過去のトレンドから予測される転換点であり、取引においては、これらのレベルに達した際に買いや売りのサインを出すために使用されます。
イチオシ・クロス
イチオシ・クロス (Ichimoku Kinko Hyo) とは、日本の相場アナリスト、一目均衡表という名前で知られる Goichi Hosoda 氏によって開発された技術分析指標です。イチオシ・クロスは、トレンド、サポート・レジスタンス、移動平均などの多くの情報を一つのグラフに統合し、取引において必要な情報を一目で把握することができるように設計されています。
イチオシ・クロスは、5つの線から構成されており、それぞれが異なる情報を提供します。
- 通常、赤い線が「転換線」、青い線が「基準線」
- 黄色の線が「スパンA」、緑色の線が「スパンB」
- 紫色の線が「基準線」
「轉折線」は短期間の移動平均、「基準線」は長期間の移動平均。
「スパンA」は「転換線」と「基準線」の中間、「スパンB」は過去26日分の高値と安値の中間値。
「基準線」は現在の価格を過去にシフトしたものです。
イチオシ・クロスは、「轉折線」が「基準線」を上回った場合、買いサイン、「轉折線」が「基準線」を下回った場合、売りサインとなります。
また「スパンA」「スパンB」は価格がこれらの線の間に存在する時にはトレンドが確立していると解釈され、「スパンA」が上にある場合は上昇トレンド、下にある場合は下降トレンドとなります。
「スパンB」はサポート・レジスタンスとして使用されます。
リニア回帰
リニア回帰 (Linear Regression) とは、統計学において、ある変数 (説明変数) が別の変数 (目的変数) に影響を与える関係を数学的に表す方法です。
リニア回帰は、目的変数と説明変数の間に線形の関係があると仮定し、その関係を最もよく表す直線を求めることです。
リニア回帰では、直線を表す式は、 y = ax + b の形で表されます。ここで、 y が目的変数、x が説明変数、a、b がパラメータです。 a は傾き、b は切片と呼ばれ、これらのパラメータを決定することで、直線を求めることができます。
リニア回帰は、目的変数と説明変数の間に線形の関係があると仮定しているため、データによっては適用できない場合もあります。また、複数の説明変数を用いる多変量回帰も存在します。
リニア回帰は、統計的な分析や機械学習においても幅広く使用され、予測や分析、モデルの構築など様々な用途に利用できます。
サイコロジカルライン まとめ
サイコロジカルラインは他の指標と組み合わせることによって、大きな力を発揮します。
しかし、指標はただそのときのトレンドを定量的に示してくれるだけでその背景にある事象については教えてくれません。
そのため、サイコロジカルラインは他の指標と組み合わせて考えることで正確性を増すことができます。
