前回のレポート以降、金価格は上昇を始め、当初は緩やかでしたが、今週に入ってからは勢いを強めています。本レポートでは、金価格と米ドルの逆相関の有効性、米中貿易関係の改善、米政府閉鎖の解除、そして米経済見通しへの市場不安といった要因を中心に、相場の動きをファンダメンタルズ面から分析します。最後に、テクニカル分析(日足チャート)も加えます。 金と米ドルの逆相関は現在機能していない 金価格は先週水曜から金曜にかけて小幅に上昇し、昨日から大きく上昇しました。一方、米ドルはわずかに弱含んだものの、概ね安定した動きを見せています。そのため、両者が反対方向に動くという伝統的な逆相関関係は現在のところ機能していないと見られます。さらに、米国債利回りも週初から上昇しているにもかかわらず、金の上昇が続いている点からも、米国債の魅力上昇が金市場の投資家を引きつけていないことが分かります。したがって、金価格を支える別の要因が存在していると考えられます。 米経済見通しへの不安が強まる 金価格上昇の一因として、米マクロ経済への不安感が挙げられます。こうした懸念は、安全資産である金への資金流入を促す傾向があります。6週間にわたる米政府閉鎖により、市場は実質的に経済データを得られず、民間や大学が発表する指標からも楽観的な材料は少ない状況です。例えば: これらの混在した、もしくはネガティブなシグナルが不確実性を増大させ、リスク回避の金買いを誘発しています。同時に、FRBが12月以降も利下げを継続するとの見方が強まりつつあり、これも金相場を支える要因となっています。 米中貿易関係の改善は相場の重しとなる可能性 一方で、米中貿易関係の改善が金相場の上昇圧力を一部和らげる可能性があります。中国商務省は日曜日、レアアース(ガリウム、ゲルマニウム、アンチモンなど)の対米輸出禁止を解除すると発表しましたこれは、韓国で行われたトランプ米大統領と習近平国家主席の会談の成果に基づくものとされています。この発表は、米中関係の改善を示すポジティブサインと受け止められ、国際貿易の不確実性を軽減することから、金価格には下押し圧力となり得ます。ただし、中国の譲歩がトランプ大統領の期待に届かない場合は、再び緊張が高まり、逆に金が買われる展開も考えられます。 米政府閉鎖の終結が視野に…