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金価格(XAU)は多少の上下はあったものの、比較的安定しています。本日のレポートでは、主にファンダメンタルズについて説明し、最後にXAUUSDの日足チャートのテクニカル分析を行います。
金と米ドル(XAUUSD)の相関関係が不活発に
金が安定しているのとは対照的に、米ドルは先週から上昇しており、この2つの取引商品の負の相関が中断していることを示唆している。同時に、先週の水曜日に米国の利回りが低下したにもかかわらず、利回りは再び上昇し、米国の利回りは現在、前回のレポートと同じ水準に近づいている。一般的に、米国利回りと金価格の負の相関関係も弱まっている。最後に、金価格の安定と対照的な銀価格の上昇も、少なくとも現段階では、金価格と銀価格の正の相関という考え方を否定していることに注目したい。とはいえ、米ドルと金価格の負の相関関係が復活するようなことがあれば、米ドルの上昇は金価格に重くのしかかり、逆に金価格を押し下げる可能性がある。
米6月CPIとPPIの発表
この行を書いている時点では、6月の米消費者物価指数（CPI）の発表はまだ先であり、PPIの発表とともに金相場を揺るがす可能性がある。この発表では、過去1ヵ月間のCPIとPPIが加速していることが予想され、米国経済におけるインフレ圧力の持続を示唆している。このようなインフレ圧力の持続はさらに緩和される可能性があり、FRBが年末まで利下げを行うという市場の期待は弱まる可能性がある。現在のところ、FRBは9月と12月に年内2回の利下げに踏み切るというのが市場の予想だ。従って、米国の6月のCPIとPPIが市場の予想以上に加速するようであれば、その発表が金相場の重しとなり、またその逆もあり得るだろう。
FRBの意図
前項の分析に引き続き、今回はFRBの意図に焦点を当てる。先週水曜日に公表されたFRB議事録によると、FRBの政策担当者はハト派的な予想を維持し、金融緩和を期待しているようだ。その一方で、FRBの政策担当者たちは、金融緩和の程度やそのタイミングに関して同じ意見を持っていないようだ。さらに、パウエルFRB議長の辞任の可能性も噂されているが、現段階ではその可能性は低いと見ている。しかし、このような噂が強まるようであれば、市場のハト派的な期待が高まり、それが金相場を支えることになるかもしれない。
トランプ大統領の貿易戦争は続く
トランプ米大統領は貿易戦争を続け、8月1日以降、EUとメキシコから米国に入る輸入品に30％の関税を課すと脅した。米国の意向を伝える書簡が土曜日に両者に送られた。EUとメキシコは米国の意向を不公正なものとみなし、問題解決の可能性を探る努力を続けているが、そうしたシナリオに対する市場の期待は弱まっている。全体として、トランプ米大統領の貿易戦争に対する市場の反応は鈍く、この問題は依然として根本的に重要であるにもかかわらず、現在の市場ではほとんど動きがないようだ。この問題に関して市場が反応するには、予想外の大きな進展が必要かもしれない。トランプ大統領の貿易戦争の結果に対する市場の懸念が、この問題で大幅に強まるようなことがあれば、金価格が安全資産として流入する可能性があるため、いくらか支持されるかもしれない。
テクニカル分析
サポート：3365 (S1), 3500 (S2), 3650 (S3)
レジスタンス：3245 (R1), 3120 (R2), 2955 (R3)
上のXAUUSD日足チャートからわかるように、金は、3365 (R1)のレジスタンスラインのすぐ下で横ばいの動きを続け、常にR1レベルを試している。RSIは、貴金属の方向性に対して比較的優柔不断な相場であることを示唆する50の数値に沿って推移している。さらに、ボリンジャーバンドの幅が狭まっており、金相場のボラティリティが緩和していることを示唆している。従って、現段階では横ばい方向が維持されるとのバイアスを維持する。しかし、冒頭で述べたように、値動きが常にR1を試していることに留意したい。しかし、強気の見通しを立てるには、3365（R1）のレジスタンスラインを明確に上抜けることが必要であり、強気勢の次のターゲットは、貴金属価格の記録的な高値でもある3500（R2）のレジスタンスレベルとなる可能性がある。一方、弱気相場の場合、3245 (S1)のサポートラインを明確に下抜けする必要があり、弱気相場の次のターゲットは3120 (S2)のサポートレベルとなる可能性がある。
IronFX上級リサーチアナリスト
ピーター・ヨシフ
公認会計士（ACA）、ICAEW会員
