金価格は先週の火曜日に大きく下落し、その後数日間はある程度の安定を見せたものの、昨日再び弱気傾向が強まりました。本レポートでは、米中貿易関係の改善見通し、FRBの金利決定、今後の経済指標発表について分析し、さらに過去1週間におけるドルと金価格の逆相関関係の有効性を検証します。最後に、金のテクニカル分析(日足チャート)も併せて紹介します。 米中貿易関係改善の兆しが金価格を圧迫 米中貿易関係の改善期待が高まり、市場の懸念が和らいでいることが金価格の下押し要因となっています。米国のベッセント通商長官は、「中国製品への追加100%関税案は撤回された」と発言し、さらに「中国がレアアース輸出制限を緩和する可能性がある」と述べました。また、トランプ大統領と習近平国家主席が来週木曜日に韓国で会談する枠組みも整えられたとしています。しかし、その会談の結果には依然として不確実性が残っています。もし両首脳が緊張緩和に向けた基盤を築くことができれば、市場心理がさらに改善し金価格が下落する可能性があります。一方、期待外れの内容(「時すでに遅し、効果が薄い」など)となれば、安全資産としての金が買われる展開もあり得ます。 FRBは利下げ見通し — さらなる利下げを示唆するのか 明日発表されるFRBの政策金利決定では、25bp(0.25%)の利下げが広く予想されています。フェッド・ファンド先物(FFF)は、12月にも追加利下げが行われる可能性が高いことを示唆しており、市場は全体としてハト派的な見方を強めています。そのため、単なる利下げ発表だけでは市場を大きく動かさず、注目は**声明文やパウエル議長の会見における「今後の見通し」**に集まりそうです。 FRB内部でも意見が割れており、ミラン理事はより積極的な緩和を主張する一方、シュミット・カンザス連銀総裁は慎重派とされています。現時点ではハト派が多数派とみられます。もしFRBが「今後さらなる利下げの可能性」を示唆すれば、金価格には上昇圧力がかかるでしょう。逆に、「追加緩和には慎重」との姿勢を強調すれば、金価格の下落につながる可能性があります。 ドルと金の逆相関は今週は機能せず…